「時間がない。」
ずっとそう感じていた。
仕事が忙しいから。
家事もあるから。
みんな同じように頑張っているのだから、自分の時間がないのも仕方ないのかもしれない。
そんなふうに思っていた。
ある日、「本当に時間がないのか」を確かめたくなって、一日のタイムスケジュールを書き出してみた。
30分単位で、平日と休日、それぞれ何に時間を使っているのかを整理してみたのだ。
書き終わった紙を見て、私はしばらく動けなかった。
自分の時間が、どこにもなかった
朝起きて、身支度をして出勤する。
仕事をして、帰宅する。
夕食を作り、食べて、片付けをする。
お風呂に入り、寝る。
休日も仕事が入ることが多く、完全に休める日はほとんどなかった。
そのタイムスケジュールには、「自分のための時間」がほとんど存在していなかった。
睡眠時間。そして、お風呂の時間。
それくらいだった。
「本を読みたい。」
「映画を見たい。」
「山に登りたい。」
「あれもやりたい、これもやりたい。」
そんな気持ちはずっとあった。
でも、そのための時間が、どこにもなかった。
その紙を見ながら、「私は何のために生きているんだろう」と思ったのを今でも覚えている。
削れるものが何もなかった
最初は、「もっと効率よく生活できないかな」と考えた。
でも、一つひとつ見直してみると、削れるものが何もなかった。
睡眠時間は健康のために必要。
平日の家事も最低限しかやっていない。
食事は私にとって大切な時間だから、作る時間も、ゆっくり食べる時間も削りたくない。
お風呂だって、本当はもっとゆっくり入りたいくらいだった。
つまり、無駄な時間が多かったわけではない。
問題は、仕事が人生の時間を占める割合が大きすぎたことだった。
「もっと工夫すれば何とかなる。」
そう思っていたけれど、実際には工夫では解決できない問題だった。
生活の使い方ではなく、生き方そのものを変える必要があったのだ。
欲しかったのは、お金より時間だった
会社を辞めたいと言うと、「働きたくないのね」と言われそうであるが、少し違う。
私は働きたくないわけではない。
働くことそのものを否定したいわけでもない。
ただ、自分の人生を仕事だけで終わらせたくなかった。
毎日を必死に回しているうちに、一週間が終わり、一か月が終わり、一年が終わっていく。
そんな生活をあと何十年も続けることを想像したとき、心のどこかで「このままでは後悔する」と感じた。
私がこれからの人生を考えたときに本当に欲しかったのは、収入を増やすことではなかった。
自分の時間だった。
映画館へ一人で映画を見に行けること。
週末に好きなところへ行けること。
本を読めること。
そして、時間を気にせず、ゆっくりお風呂に入れること。
そんな何気ない時間こそ、私が求めていた豊かさだった。
あの日の紙が教えてくれたこと
あのタイムスケジュールを書いた日は、正直、悲しかった。
どうやっても時間は増えない。
何を削っても苦しくなる。
答えが見つからなかったからだ。
でも今振り返ると、あの紙には大切なことが書かれていた。
それは、「もっと頑張れ」ということではなく、「この働き方を続ける限り、望む暮らしは手に入らない」という現実だった。
だから私は、50歳で会社を辞めるという目標を立てた。
会社を辞めることが目的ではない。
自分の時間を、自分の人生に取り戻すことが目的だ。
もし今、「毎日時間がない」と感じている人がいるなら、一度だけ一日のタイムスケジュールを書き出してみてほしい。
そこで見えてくるのは、時間の使い方の問題ではないかもしれない。
もしかすると、本当に見直すべきなのは、「どんな暮らしをしたいのか」という人生そのものなのかもしれない。
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書いた人:夕凪 47歳。
50歳以降の生き方を考えながら、断捨離や旅、資産づくりの記録を残しています。



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